時折僕は思う。飛行機というものが、もっと、遅ければいいのにと。ライト兄弟のころのように、ゆっくり、ゆったりと飛んでくれれば。中野さんは午後の日差しを受けた、きらきら光る雲海に目を細めている。 「きれいですね」「そうだね」 それ以上の会話が、…
地元の人の言うことは、やっぱり完全にアテにしてはいけなかった。「天都山行きのバスに乗って、一番上にあるのが北方民族博物館、すぐ下がオホーツク流氷館、さらに下に網走監獄があるよ」 「北方民族博物館……から、網走監獄まで歩けますか」 「ほら、バス…
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