その年季の入った民宿は、別館にライダーハウスがあり、談話室は旅慣れた人たちのさざめきで満ちていた。僕と中野さんも、その隅っこに陣取って、インスタントコーヒーをすすりながら、今日のライブの興奮を分かち合っていた。まだ胸の奥に、ギターの、鈴の…
9時5分発の「快速しれとこ」は通路まで埋まった満員となった。僕らはこの列車に乗って釧路から網走を目指す。「人でいっぱいですね」 「釧路湿原や知床に行くんだろうね」旅行4日目、クロスシートの向かいの中野さんの目が少し重そうだ。僕も身体の表面に疲…
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